陰陽道は、中国ではじまり、陰陽師たちによって日本独自の進化を遂げてきたものです。
陰陽師として超有名な安倍清明(あべのせいめい)には「落ち葉を式神に見立て、呪術を唱えカエルを圧死させた。」などという話しもあります。人によってはオカルトとイメージさせるような逸話です。そのような呪術的側面の真意は測り知れませんが、実際には、現代にも役立っている知恵というものがたくさんあるのです。
古来日本人は「人は自然によって生かされ、育てられている。」という発想の中で「自然を司っている天が人に幸せをもたらす。」という考え方を持っていました。
そして、自然現象や暦、医学、方位を経験的に分析し、そこに天が定めた法則を見つけ出し、体系化したものが陰陽道なのです。
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陰陽道は経験や統計を基にした「東洋の科学」
西洋科学の場合、公式で表示できて、実験で100%再現できることを重視するのに対して、陰陽道は、過去の経験をデータとして解析して、起きる可能性が高いかどうかを判断します。
また、近代科学は個人の運命と自然現象との関係を認めていませんが、陰陽道では、自然現象と人の運は大きな天の法則に則って起こっていると考えています。そして陰陽師はその人の運の流れ、時間、方位などを陰陽道の膨大なデータに基づく法則(経験値)に照らし合わせて計算し、その人に良い時間や方向を示しているのです。
陰陽道を知る簡単な例として、以下のようなお話しがあります。
土用の日に土を触ってはいけない
例えば土木関係のお仕事では「土用の日に土を触ってはいけない」と言います。
これには陰陽道に基づく明確な理由があります。
土地というのはリサイクルシステムを持っていて、リサイクルしている時期は、地熱が上がり菌が繁殖しやすくなります。そのリサイクルしている日こそが土用の日と言われているのです。もし菌が繁殖している時に、傷などを負い雑菌が入ったりすると、医療が発達していない時代であれば、命を落とす原因になります。と言うことで、土用の日には土に触らない。これは現在でも土木関係のお仕事では、常識とされているのです。
喪中の人は神社に行ってはいけない
他にも「喪中の人は神社に行ってはいけない」というのも、ただの迷信ではありません。
昔は、伝染病で亡くなる方がたくさんおられました。もし、その傍で看取った方が病気に感染していたとしたら、人がたくさん集まる神社で行われるお祭りやお参りに参拝した場合、二次感染、三次感染を引き起こしてしまう恐れがあります。
1年喪に服せば、万が一感染していても多数の人に感染することはありません。だから喪中に神社に行ってはいけない、という訳です。
また「女性は生理中は神社に行ってはいけない」というのもあります。これも、単なる性差別的なことではなく、抵抗力が落ちている女性が神社に行って病に感染しないように、という意味があります。
医学が発達した現代では伝染病で亡くなる方は少なくなりましたし、人がたくさん集まる場所が神社だけでは無くなりました。その結果「喪中に神社に行くな」という言い伝えだけ聞くと、霊的な何かをイメージして「迷信」のように思えてしまうのですが、実は実際にあったことが「知恵」として伝わっているだけなのです。
陰陽師を理解することで得られる生活の知恵
陰陽道は吉凶を占う、それは、善悪というどちらかが悪くてどちらかが良いというモノではなく、凶でも過ちに気付いて吉になるように心がければ、幸せになれる、という考え方なのです。
「陰陽道の知恵」は現代に通用するものがたくさんあります。上手に使う事によって、凶運を避け、吉運をつかむ可能性を高める事ができるのではないでしょうか。